東京兼喜会会長
       中橋博治
  清水建設と我々兼喜会の関係で、まず第一にあげられるのは、兼喜会会員は清水建設に対しロイヤルティ(忠誠心)を持っているということです。第二は、清水建設と取引をしている会社だということで、広く信用をされているということがあります。兼喜会の運営は、そうした信頼関係や信用を基盤に成り立っています。さらに、最も大切なことですが、兼喜会の会員であるということは、我々会員にとって誇りであるということです。そして、信用力に関連しますが、世間的にも清水建設の名義人であることによるステータス、いわゆる社会的な評価を得ているということもあります。会員自身がそうした誇りや自負を持って行動しているということです。

 他のゼネコンの協力会の場合、元請と下請の結び付きはそれほど強くないと聞きます。ですから清水建設と兼喜会とは、それらのゼネコンとは違い、強い信頼関係で結び付いていると言っていいでしょう。そうしたところが専門工事業者に対する清水建設の姿勢のすばらしさであり、特色であると同時に持ち味でもあると思います。
 それを端的に物語るのが、清水建設の経営トップから幹部社員、さらに言えば現場の方たちに至るまで代々、兼喜会会員に対する温かい眼差しや、逆に愛情ある厳しい対応など、いわゆる「清水建設と兼喜会とは『車の両輪』である」という強い意識を持っておられる点ではないでしょうか。そうした姿勢を何かにつけて感じているからこそ、我々兼喜会会員も意気に感じるし、ロイヤルティにつながっているのだと思います。

 私は、兼喜会の役員を務めさせていただいた父の背中を見ながら仕事を覚えました。青木洋次郎会長を始め、現在の多くの役員や会員の方々も同様だと思います。先輩たちは皆、お店の気概や兼喜会に対する理解に応えようと、何よりもまず兼喜会の活動を優先して事に当たってきました。当然、我々もそうしています。それが兼喜会の伝統なのです。兼喜会には歴史があり、先達に学ぶ気風もあって、結束がよいことでも知られています。また、統制が取れていることも特徴の一つだと思っています。

 世界同時不況が進行しており、建設業界にも暗雲が立ち込めています。特に今年に入り、過去に経験したことのない「未曾有の危機」との指摘も現実味を帯びています。しかし、「景気が良いときも 悪いときも一心同体である」という基本原則は変わっていないはずです。現実にはコスト面で厳しい局面が増えているのは事実ですが、清水建設のために頑張ろうという意識は、我々兼喜会会員に共通しているのではないでしょうか。
 もっとも、たとえどんなに創意工夫をしても厳しいコスト要求に応えられるには限界があるのも事実です。長い歴史と良き伝統を誇る、清水建設と兼喜会の関係に綻びが出ることがないように双方で知恵を絞っていきたいですね。
     
                                         (清水建設全国連合兼喜会50年史より)