他社の協力会社にはない自主活動の展開

この激動の時代の中で全国連合兼喜会は、つねに「優秀な技能工の育成」「生産性の向上」「コストダウン」「労働災害の撲滅」を目標に、清水建設の期待に応えられるようにと自主的な活動を行ってきました。こうした活動は他社の協力会では見られないものだと自負しています。主な活動を年代順に並べますと----昭和37年(1962)清水建設兼喜会災害防止協議会の結成。 昭和38年(1963)玉掛け、ガス溶接等の各種講習会を開始。 昭和43年(1968)兼喜会青年部の結成。昭和51年(1976)協力会社互助会の設立。  昭和52年(1977)労働災害補償共済の設立。  昭和54年(1979)青年部合同研修会を開始。  昭和56年(1981)TQCの導入。 平成4年(1992)後継者育成研修会を開始----などがあげられます。
 これらの活動の中でも、清水建設、兼喜会双方の歴史に残るTQC活動についてふれてみますと、清水建設は昭和54年(1979)、当時の野地社長が、これからの新しい時代は意識改革と品質重視の経営であるとして「TQC推進宣言」を行い、TQC(全社的品質管理)の導入にふみきりました。導入にあたっては、建造物の直接的な品質のつくりこみは専門工事会社に負うところが大きいため、品質保証機能を清水建設と専門工事会社が適切に分担しあって進めるべきであるとして、「取引業者と一体となったTQC」を目玉として活動を展開しました。
 兼喜会でも、さっそく勉強会を行い、昭和56年(1981)、全国連合兼喜会推進委員会を結成すると共に、兼喜会主催で全国的なQCサークル発表会を開催。現場にあっては、職長を中心としたQC工程表を使った実践的な活動を行いました。各地区でのデミング賞参考調査では、兼喜会としての品質の確保、改善事例の効果など活動状況が報告され、兼喜会主要会員の個別調査では、社長をはじめ第一線の作業者にいたるまで、Q.C.D.S に取り組む姿勢とその効果についての発表もありました。このようなシミズグループの総力をあげての連日深夜におよぶ活動の結果、昭和58年(1983)、清水建設はデミング賞を受賞されました。この活動の原動力となったのは、清水建設と兼喜会がそれまで培ってきた信頼関係そのものであり、当時の吉野社長も「デミング賞は兼喜会員の協力なくしては成しえなかった。共に培ってきた相互理解と信頼がこの成果に結びついたと考える。私は受賞という結果もさることながら、ひとつの目標に向かって手をたずさえて努力してきた過程に意義を見いだす」と語られています。
 現在の全国連合兼喜会は、東京(清水建設東京支店、土木東京支店、関東支店を担当)、名古屋、近畿(清水建設大阪、神戸支店を担当)、広島、四国、九州、北陸、東北、北海道、横浜(1980年に設立)、千葉(1989年設立)の11支部、会員数1,471社によって運営されています。
 毎年度の主な活動としては、各支部長による年頭の伊勢神宮での安全祈願に始まり、支部長会議を年3回開催しますが、毎年初回の会議には清水建設の社長以下関係部門の役員、本部長が出席されて、兼喜会に対する年度の指導方針が示されます。兼喜会はこの方針を受けて年度の事業計画を立て、各支部が交替で開催する全国連合兼喜会の総会で審議し、方針を統一して、兼喜会の決意を表明すると共に親睦を図り、結束を固めています。この一連の活動は、年3回発行する「兼喜会報」で全会員に報告されます。日常活動としては、東京兼喜会の「我が社の改善事例」、近畿兼喜会の「インプルーブKANEKI−21」等の発表会をはじめ、生産性の向上、安全確保などに役立つ改善活動を主に行っています。また近年は、次代を担う後継者育成研修に特に力を注ぎ、経営、技術、現場実習、改善活動に対する教育に努めています。
 災害防止活動については、平成2年(1990)までは兼喜会災害防止活動として行ってきましたが、清水建設と取引のある業者はすべて自主的に災害防止に努めるようにとの清水建設からの指導により、全取引業者を対象に「清水建設取引業者災害防止協議会」を別組織として結成しました。このため、従来の兼喜会活動として行ってきた、経営者現場パトロール、各種技能講習会、安全ポスターの作成・配布、安全教育、清水建設との共催による安全衛生推進大会等は取引業者災害防止協議会に移管しましたが、この組織においても兼喜会員がリーダーシップをとって運営を行い、各支部の実情に見合った組織、方針のもとに災害の根絶を期しています。